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大学の教育資金って結局どれくらいかかるの?
大学の進学では、入学時の費用と在学時の費用、さらに自宅外から通う場合は住まいを借りたり、家具を調達したりする費用や仕送りが必要になります 。
実際にどれくらいの費用がかかるのか見てみましょう。
親を悩ませる「子どもの大学進学」
日本政策金融公庫が平成30年(2018年)に調査したところによると、4年制大学に通ったときにかかる費用の平均は以下のとおりでした。(単位は万円)
国公立大学 | 私立大学(文系) | 私立大学(理系) | |
入学費用 | 80 | 90 | 86 |
在学費用 | 460
(115×4) |
640
(160×4) |
740
(185×4) |
合計 | 540 | 730 | 826 |
これに加えて自宅外から通う場合は、住まいを借りたり、家具の調達にかかる費用として約37万円、仕送り代として年間約91万円が必要になります。
トータルすると国公立大学で約940万円、文系の私立大学で約1,131万円 、理系の私立大学で約1,227万円です。
この金額を親の力だけ で用意するのは大変で、子どもが生まれた直後 から始めても、毎年約52~68万円を貯金しなければいけません。まして住宅ローンの返済に追われていると、ますます難しくなるでしょう。
世間の親はどうやって学費を払っている?
大学の進学に必要なお金を用意するために、よく利用されているのが「学資保険」です。毎月定額を積み立てると、満期に数%が上乗せされることに加え、万が一親が亡くなっても保険料の払い込みが不要になって、予定金額を受け取れます。
ただし、保険会社が破綻すると元本は保証されません。近年は金利の低下より、以前ほどの上乗せは期待できなくなっています。また、途中で解約すると大きく元本割れするのが悩ましいところです。
貯めるのではなく、借りて用意する方法もあります。その1つが日本政策金融公庫の「教育一般貸付」です。
最高350万円まで借りることができて、最長15年かけて返済します。金利は年1.71%の固定です(2019年7月現在)。
さらに、母子家庭や父子家庭、交通遺児の家族、年収が200万円以内の世帯は、金利や返済期間が優遇されます。
教育一般貸付は、銀行の一般的な教育ローンよりも条件が良いのが魅力です 。ただし子どもの人数によって、世帯年収や所得には上限があります。
「奨学金」の基礎知識と問題点
親ではなく、子どもが申請して返済するのが「奨学金」です。仕組みと利用するときの注意点を紹介します。
奨学金の基礎知識
奨学金の中でも、特になじみ深いのがJASSO(日本学生支援機構)です。
JASSOの奨学金は、大きく分けて給付型と貸与型の2種類があり、貸与型には無利息の第一種と、有利息の第二種があります。
給付型の奨学金は、返還が不要です。2020年度の利用分から内容が変わり、入学金や授業料の減免も加わります。支援の対象となるのは住民税が非課税の世帯と、それに準ずる世帯の学生です。支援額は世帯の年収や進学先、自宅から通うか自宅外かによって異なります。
例えば、住民税が非課税の世帯の学生で、私立大学に自宅外から通う場合、減免されるのは入学金が約26万円、授業料は毎年約70万円が上限です。給付されるのは毎月約8万円となります。
これに対して貸与型の奨学金は、卒業の半年後(翌年度の10月度)から返還しなければいけません。
第一種のほうが所得の条件は厳しく、成績も原則として高校2~3年生時に5段階評価で平均3.5以上でなければいけません。
一方、第二種は所得の条件が緩やかで、高校での成績が標準以上だったり、学習意欲が旺盛であると認められれば利用 できます。
借りられる金額は、大学や通学方法によって異なり、第一種で月額6.4万円(私立で自宅外から通学する場合)まで、第二種で月額16万円(私立の医科・歯科大学の場合)までです。これを10~20年ほどかけて返済します。
金利は固定と5年ごとに見直す方式の2種類があり、平成31年(2019年)4月から利用を開始した場合は、前者が年0.153%、後者でも年0.002%です。
JASSOが平成31年3月に公表したところによると、平成29年度(2017年度)は、大学生(短大生も含む)の2.7人に1人がJASSOの貸与型奨学金を利用しました。
これは10年前と比べて約1.3倍です。 長引く景気の低迷によって親の給与が低下する一方、大学の進学にかかる費用が高止まりしているのが影響しています。
奨学金を取り巻く問題点
貸与型の奨学金は、卒業後の生活を圧迫するという問題点があります。
近年は金利が低いため、借りた金額によって返還するのは月0.8~3.3万円くらいです。 それでも給与が低かったり、就職できずに収入が無かったりすると返還できません。
特に大学に通うのも就職先も自宅外だと、借りる金額が多く、1人でやり繰りしなければいけないため、返還できないリスクは高まります。JASSOの調査でも、平成29年度に3ヶ月以上延滞している債権は3.4%ありました。 実際に奨学金を返済できず、自己破産に陥ったケースもあります。
せっかく大学に通えても、借金で苦しむようでは本末転倒です。
奨学金は返還するときのことも考えて、安易に借り過ぎないよう気をつけましょう。
教育資金を奨学金以外で賄う方法
大学の中には、世帯の収入や学力に応じて授業料を減免してくれるところがあります。
また、一度に納めるのが難しければ分納や延納を利用できるかもしれません。学生課で確認してみましょう。
また、奨学金の中には働くことで学費を肩代わりしてくれる「労働型」があり、代表的なのが「新聞奨学生」です。朝と夕方に新聞配達をしなければいけませんが、学費の肩代わりに加えて給料が発生し、住まいも提供してくれます。卒業後の返還は不要です。
他にも、可能な範囲で子どもにアルバイトをしてもらうのも教育資金を賄う方法の一つです。
仕送りを減らせますし、社会勉強にもなるでしょう。
さらに、持ち家があるなら ハウスドゥの「ハウス・リースバック」で自宅を現金化して、教育資金に充てることもできます。
持ち家をハウスドゥに売却して賃貸契約を結ぶことで、現金化してもそのまま住み続けられるのがハウス・リースバックのメリットです。
資金が用意できれば、いつでも再度購入ができます。全国の戸建住宅やマンション、事務所などが対象です。
教育資金が足りなくてお悩みの際は、ぜひご相談ください。(※物件によりご利用できないケースがございます)
まとめ
子どもの教育費の一つ、大学資金は高額になり親を苦しませる場合が多いです。
大学に進学する際、約500~1,000万円ほどの資金が必要になるため、親の力で用意するのは難しく、多くの学生が奨学金を利用しているのが実状です。
ただし、奨学金は返還しなければなりませんので、子どものために親が無理をすると老後に皺寄せが来ます。
子どもと相談して無理のない進学プランを立てましょう。