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国民年金とは、日本に住所をもつ20歳以上60歳未満のすべての人が加入する保険です。
国民年金法の第7条により、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者は、国民年金の被保険者であり、年金保険料を納める義務があります。
もし、一度も払っていないと、老後はどうなってしまうのでしょうか。
意外と低い国民年金保険料の納付率
国民年金の被保険者は第1号、第2号、第3号の3種類に分かれます。第1号は自営業者や学生など、国民年金だけに加入している被保険者です。第2号は会社の厚生年金や教職員などの共済年金に加入している被保険者となります。第3号は第2号被保険者に扶養されている配偶者です。
このうち第2号と第3号の被保険者は、会社や共済組合が年金保険料を給与から強制的に徴収するため、未納はありません。第1号のみ、自分の意志で納める必要があります。
厚生労働省の「令和4年(2022年)度の国民年金の加入・保険料納付状況」によると、国民年金の納付率は80.7%でした。年齢別に見ると平均を上回っているのは40代以降で、25~29歳は75%を下回っています。
令和2年度の納付率が77.2%だったのと比べれば、これでも改善したほうですが、意外と低く感じるでしょう。
年金を払っていない人は老後がキケン!
では、年金保険料を納めていないと、どんな問題が生じるのでしょうか。
老後にもらえる年金が減る
国民年金の1つである老齢年金を受給するためには、最低でも通算して10年(120ヶ月)以上年金保険料を納めていなければいけません。かつては25年(300ヶ月)以上の納付期間が必要でしたが、2017年8月から現行の10年以上に軽減されました。
ただし、納付期間が短いと受給できる老齢年金は少なくなります。全期間(40年=480ヶ月)納めた場合、受給額は67歳以下の方は年795,000円、68歳以上の方は年792,600円
(2023年10月現在)ですが、10年しか納めていないと67歳以下の方は年198,750円、68歳以上の方は年198,150円にしかなりません。当然、10年に満たない場合は、受給の対象外です。
たとえ満額で67歳以下の方は月66,250円、68歳以上の方は月66,050円にしかならなくても、あるのとないのでは雲泥の差です。老齢年金は生きている限り受給できるのですから、他の方法で簡単に賄えるものではありません。まったく受給されないと、老後の生活はかなり苦しくなるでしょう。
障害年金や遺族年金がもらえない可能性がある
国民年金には、病気やケガで障害が残ったときに受給される「障害年金」と、被保険者が亡くなったとき子供のいる配偶者や子供に支払われる「遺族年金」もあります。受給条件は以下のとおりです。
- 障害年金……初診日の前々月まで加入期間の2/3以上保険料が納付または免除されており、直近の1年間に保険料の未納がないこと。
- 遺族年金……被保険者が死亡した時点で加入期間の2/3以上保険料が納付または免除されていること(ただし、令和8年(2026年)4月1日前までは、死亡の前々月までの1年間に保険料の未納が無いこと)。
つまり、年金保険料を納めていないと、これらも受給されないわけです。受給されれば、障害が残って思うように働けないときも安心できますし、遺族の生活も保障されます。
年金を払っていない人の対処法
年金保険料の重要性が分かったところで、これまで払ってこなかった人は、どのように年金の受給額を増やせばいいのでしょうか。
追納をする
年金保険料は2年の納付期限があるため、その分を遡って納めるようにしましょう。まとめて納めても、期限の近い分から納めても構いません。
払えない場合は免除申請をする
国民年金には、保険料の免除や納付を猶予する制度があります。前者は所得に応じて全額、3/4、半額、1/4の免除です。後者は50歳未満が対象で、納付が実質全額免除になります。
まったくの未納と比べて、免除になればその期間も老齢年金の受給資格に算入され、受給額にも反映されるのが大きな違いです。猶予では受給額に反映されませんが、受給資格の期間には算入されます。もちろん、障害年金や遺族年金の対象です。
また、免除や猶予は、10年以内であれば追納できます。追納して不足分を解消すれば、受給額を増やせるわけです。
付加年金か国民年金基金で増やす
付加年金とは、毎月の年金保険料に400円を上乗せすると、老齢年金に200円×納付月数が加算されるものです。
もっと増やしたい場合は、国民年金基金に加入すると良いでしょう。年金を増やせるだけでなく、掛金は最大6.8万円まで全額が所得控除の対象になります。ただし、付加年金との同時加入はできません。
受給開始を遅らせる
65歳になると年金を受給できるようになりますが、1年以上繰り下げると受給額が増えます。66歳からなら8.4%の増額で、最も遅い70歳からの受給なら増額は42%になります。
ただし、他の年金(厚生年金や障害年金、遺族年金など)の受給権利が発生すると、それ以降繰り下げることはできません。
年金だけでは老後の生活が難しい人
先述のとおり、年金保険料を全期間納めても月6.5万円程度にしかならず、それだけで生活するのは難しいものです。まして未納があって減額されると、さらに厳しくなるでしょう。そんなときは、どうすればいいのでしょうか。
老後も働けるようにする
定年退職後も別の職場で働くようにすれば収入を得られるので、年金だけで生活するよりも楽になります。近年は人手不足により、高齢者の需要も高まっている状況です。自営業者や個人事業主として独立すれば、一生涯働けます。
老後も働けるようにするには、現役のうちに稼げるスキルを身につけると良いでしょう。何より、健康でいることが大事です。
自分で資金を作る
老後の資金は自分で作ることもできます。
銀行の預金は元本が保証されていますが、金利が低くて利息には20.315%の税金がかかります。貯蓄タイプの保険(個人年金保険など)は、保険料が一定額まで控除されるのが魅力ですが、途中解約すると元本割れするのが難点です。
近年では、つみたてNISAやiDeCoのように長期の分散投資を目的とした制度もありますが、元本は保証されていません。いずれも仕組みを理解した上で、自分に合った方法を選びましょう。
持ち家があれば、老後の資金が不足したときに売却して現金化できます。それだけなら住むところが無くなってしまいますが、「リースバック」を利用することで、現金化した後も住み続けられます。
弊社And Doホールディングスなら「ハウス・リースバック」です。弊社に売却していただき、リース契約も結んでいただくため、期間に制限がなく、お客様のタイミングで再度購入ができます。対象となる物件も全国の戸建やマンションなどです。
老後の資金が不足しそうなときは、ぜひご相談ください(※物件によりご利用できないケースがございます)。
まとめ
年金保険料を払っていないと、老後に老齢年金を受給できないだけでなく、万が一のときも障害年金や遺族年金が支給されません。老齢年金は10年の納付期間があれば受給資格が発生するので、今からでも払うようにしましょう。払えないときは免除や猶予を申請すると、納付期間や受給額に反映されます。