無年金の親の介護は想像以上につらい…負担を軽減するには?

2020.01.29 更新
ハウス・リースバック

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親が無年金であることは、必ずしも親の責任とは限りません。単純に支払っていないケースもありますが、勤め先が違法に年金を払わなかったことで意図せず無年金になるケースもあります。ただ、どちらにせよ無年金の親を子がサポートすることに変わりはありません。さらに、介護がのしかかれば想像以上につらいのが事実です。この負担を軽減するにはどういった方法が考えられるのでしょうか。

無年金の高齢者の割合はどれくらい?

厚生労働省による平成30年度の「後期高齢者医療制度被保険者実態調査」によると、65歳以上で年金の収入が無い人は602,554人います。これは同世代の総人口の約3.5%です。その中には事業収入や給与収入、不動産収入がある人もいますが、約50万人はそれすらありません。

出典:厚生労働省ホームページ
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031811540&fileKind=0

年金を受給するには、10年(120ヶ月)以上保険料を納めなければいけません。かつては25年(300ヶ月)の納付期間が必要でしたが、平成29年8月に現行の期間まで短縮されました。それまで対象外だった人も、年金事務所で手続きをすれば受給できるようになっています。

それでも無年金の高齢者が50万人ほどいるので、いかに10年すら納めていない人が多いか実感できるでしょう。

そもそも、日本で国民年金が始まって「国民皆年金」になったのは1961年からであり、20歳以上(学生を除く)60歳未満が強制加入となったのは1986年からです(学生の強制加入は1991年から)。そのため、高齢者ほど保険料を納めなければいけないという義務感が低く、未納のまま無年金になったと推測できます。

もし、親が平成29年8月より前に65歳になっており、10年以上保険料を納めているのに、25年以上納めていなくて無年金になっている場合は、年金事務所で相談しましょう。

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介護費用は家計を圧迫しかねない?

高齢になって身の回りのことができなくなると、介護が必要になります。親が無年金だった場合は、子が費用負担しなければいけませんが、それは家計を圧迫するくらい高額です。

老人ホームに入るには入居金が必要

例えば、自宅で世話することができなくて、有料の老人ホームへ入居する場合は、入居一時金と月額利用料を支払わなければいけません。

入居一時金とは、前家賃みたいなもので、老人ホームで居住する期間を想定して請求されます。介護専用であれば5年分程度ですが、自立型の老人ホームなら10年分以上になるのも珍しくはありません。

実際にかかる入居一時金は老人ホームや入居者の介護レベルによっても異なりますが、生命保険文化センターが平成30年に公表した調査結果によると、平均で69万円でした。もちろん平均なので、まったくかからなかった人もいれば、200万円以上かかった人もいます。

出典:(公財)生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査<速報版>」
https://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf

一方、月額利用料の内訳は管理運営費や光熱費、食費、介護サービス費などです。それとは別に医療費や理美容代、日用品の購入が発生した場合は、その分も負担しなければいけません。

先ほどの調査結果によると、毎月の介護にかかる費用が10万円以上かかっている人は1/4以上います。いかに負担が大きいか分かるでしょう。

もし、入居者が月額利用料を滞納すると、連帯保証人に連絡が行きます。数ヶ月は猶予を与えられますが、最大でも半年ほど滞納すると強制退去になってしまうでしょう。もっと安い老人ホームへ移動するか、在宅介護するしかありません。

在宅介護でもかなり負担がかかる

一方、在宅介護であれば家賃や管理費は不要です。食費も予算の範囲内で押さえられるでしょう。ただし、おむつなど介護用品の購入や福祉用具のレンタル、病院への送迎などで費用が発生します。

また、100%家族だけで介護しようとするのは後述のとおり難しいので、月に数回は訪問サービスやデイサービスの利用を検討しなければいけません。これらをトータルすると、平均で月に5~6万円ほどかかります。

老人ホームに入居するよりも少なく、入居一時金もありませんが、毎月となれば大きな負担であることには変わりありません。

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親が無年金だと、子が介護と経済面の二重苦に陥る

親が無年金というのは、思った以上にシビアです。ただ無年金であれば、働けるうちは親が働くなどすればよいのでまだ救いようがありますが、親の介護が必要となると子の負担はどっと重くなります。

自分の親でも介護は難しい?

高齢者の介護は、配偶者や子が負担するケースが多いです。理由はさまざまかと思いますが、自分の家族だから、何とかして自分が面倒を見なくてはならないという思いで介護に携わるケースもあるのではないでしょうか。

家族だから言いたいことは言えて、ある程度は許容できると思っている人もいるかもしれませんが、たとえ親であっても介護ストレスを抱える人は少なくありません。かえって、親だからどうにかしなくてはならない、周りに任せられないというプレッシャーが介護ストレスを悪化させることもあります。

介護によって減っていく自分の時間、仕事の時間

介護ストレスの原因のひとつが、介護によって減っていく時間です。国の取り決めた要介護度には、要支援1~2、要介護1~5がありますが、厚生労働省の「平成28年 国民生活基礎調査」をみると、介護度が1番軽い要支援1の介護は、必要なときに手を貸す程度と回答している人が多いです。この程度であれば、介護の負担も少ないですが、問題は要介護度合いが高くなった場合。

同調査結果では、要介護の度合いが高くなるほど、比例するように介護にかかる時間が長くなっています。要介護度が最大の要介護に至っては、ほとんど終日介護していると回答した人が54.6%。半日程度を含めると65%ほどになりました。親がほとんど寝たきりになると、1日の半分は介護で持っていかれる人が多いということです。

このように介護にかかる時間が長くなると、自分のプライベートの時間はおろか、働く時間さえも制限されてしまいます。本格的に介護がはじまると、これまで通りに働くのは厳しいです。

介護疲れが及ぼす影響

介護の必要性が増すと、介護にかかる時間が長くなると紹介しましたが、負担があるのは生活時間だけではありません。介護によって、介護疲れやストレスが増え、介護うつになることもあります。

介護うつとは、介護者にうつの症状が表れること。気分が落ち込むことが多くなったり、食欲不振が続いたりした場合は注意が必要です。このように、介護される側以上に、介護する側である子への負担は大きくのしかかります。

無年金によって子の負担は加速する

ここまで、親の介護がどれほど子にとって負担になるか紹介しました。要支援程度ならまだしも、要介護になると介護に積極的に携わることで、子が時間も心も消耗してしまうことがあります。これに、無年金という負担がのしかかれば、さらに子の負担は加速することになるでしょう。

どのくらい介護が必要かで変わりますが、通常介護にかかる費用は1~5万円程度が多いです。介護施設に入居することになると、介護保険に含まれない部屋代や食費で10万円は見ておかなくてはなりません。そのうえ、親が無年金なら、親の食費などの面倒を見る必要もあります。無年金による子への経済的な負担は想像以上に重くのしかかることがわかるのではないでしょうか。

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介護費用の負担を軽減するために知っておきたい制度

介護費用には負担を軽減する制度がいくつかあります。けれども、自ら手続きしないと適用されません。負担を軽減するためにも知っておきましょう。

高額介護サービス費制度

高額介護サービス制度とは、介護保険を利用した際に自己負担で支払った金額が上限に達すると、超えた分が払い戻される制度です。例えば、現役並みの所得がある人の世帯では、月に44,000円を超えた分が払い戻されます。

手続きの窓口は、市区町村役場の介護保険担当です。市区町村によっては、該当すると通知してくれるところもありますが、しないところもあります。手続きにあたっては介護サービスを利用した領収書が必要です。利用した月の1日から2年経つと時効になるので注意しましょう。

親が無年金の場合、子の扶養に入れてしまうと自己負担の上限が現役並みの所得になってしまいます。親を別世帯にして市町村民税が課税されていなければ自己負担の上限は24,000円、生活保護を受けていれば15,000円になるので、さらに子の負担を軽減できます。

医療費控除

医療費控除とは、1月1日から12月31日の間にかかった世帯の医療費が10万円を超えると、超えた分だけ所得から控除されるという制度です。介護保険の居宅サービスや施設サービスで自己負担した費用も、医療費の中に含められます。ただし、高額介護サービス費制度で払い戻された分は対象外です。

適用するには税務署で確定申告をしなければいけません。会社勤めをしていて源泉徴収されている人もです。e-TAXでインターネット上からも手続きできます。

なお、親の介護保険の自己負担分を医療費控除するには、先ほどの高額介護サービス費制度とは逆に、親を扶養に入れなければいけません。高額介護サービス費制度で払い戻される金額と、控除によって減る所得税を比べて、お得なほうを選びましょう。

高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療費と介護保険を利用した費用の合計が一定額を超えると払い戻される制度です。期間は8月1日から翌年の7月31日までとなります。対象となるのは医療保険と介護保険の両方を利用している世帯です。

自己負担の金額は、加入している健康保険の種類や所得、年齢によって異なります。例えば、75歳以上の高齢者がいて、国民健康保険の後期高齢者医療制度と介護保険を利用している場合は、現役並み所得者のいる世帯で67万円です。市町村税が非課税で、世帯全員の所得が0円であれば19万円になります。

手続きを行うのは、加入している健康保険の窓口です。国民健康保険なら市区町村役場となります。持参するのは国民健康保険証と介護保険証、払い戻す金額を振り込む通帳、認印です。それ以外の健康保険に加入している場合は、担当者に確認しましょう。

自己負担した金額は健康保険の保険者が把握しているので、基本的に証明する書類は不要です。ただし、期間中に他の市区町村から転居したり、健康保険の種類が変わっていたりする場合は必要になります。時効は2年です。

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無年金の親の介護をしながら資金を作る方法

無年金の親を介護しながら資金を作るにはどういった方法があるのでしょうか。考えられる4つの方法を紹介します。

収入を増やす

無年金の親の介護で、金銭的な負担をどうにかしたいなら、収入を増やす手があります。たとえば、割のよい仕事を見つける、空いた時間に副業をするなどです。収入増加で金銭面の不安が減ることで、介護ストレスをいくらかは軽減できるでしょう。

しかし、介護の時間もあります。1日のうちどのくらい介護に時間を使っているかでも異なってきますが、実際には時間的に厳しい部分もあるのではないでしょうか。

世帯分離で負担を減らす

世帯分離とは、親と子の世帯を分けることです。親の介護のために同居している人もいるかと思いますが、親との同居がかえって良くないこともあります。

たとえば、高額介護サービス費制度の自己負担額への影響です。高額介護サービス費制度とは、介護保険の自己負担1割で支払った金額の合計が一定を超えたときに、超えた分が戻ってくる制度ですが、介護されている人だけでなく、世帯全員の収入が対象となり、自己負担額が変わってきます。

自己負担額を抑えるには、住民税非課税でないとならないため、同居している子が働いている場合は不利です。あえて世帯を分けることで所得の基準を落とし、介護にかかる負担を抑えます。

生活保護を申請してもらう

無年金の親に対して子ができるサポートは限られています。無年金の親の金銭的負担をしたために、共倒れになってしまうこともあるでしょう。共倒れを防ぐには、親に生活保護を申請してもらうことも考えるべきです。

生活保障の最後の砦ともいえる生活保護を受給できれば、生活扶助だけでなく医療扶助もあるので、子の金銭負担がだいぶ軽減できます。しかし、生活保護は周りに支援してくれる人がいない場合にはじめて申請できるものです。ほかにも、さまざまな受給条件があります。申請しても承認が下りるとは限りません。

ハウス・リースバックを利用する

親の家、または自宅が持ち家であればハウス・リースバックも選択肢として考えてみるべきではないでしょうか。ハウス・リースバックは、

ハウス・リースバックを利用すれば、手元にまとまった現金を用意できます。無年金の親をサポートするための金銭的なつなぎとして活用可能です。

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まとめ

無年金の親の介護は、時間的にも金銭的にも厳しいことを紹介してきました。自分だけでどうにかしようとするのではなく、制度に頼ることもときには必要です。制度を利用するまでの間のつなぎでお金が必要になったら、ハウスドゥのハウス・リースバックの活用もご検討ください。

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