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「老後は年金があるから大丈夫」「支出も減って生活も落ち着くはず」と気楽に考えてはいませんか?
近年では、国民年金だけで生活できない人も増えてきています。
なぜ国民年金だけでは生活が厳しいのでしょうか。
将来の老後資金のことを考えるなら、早め早めの対策が重要です。
年金暮らしの実態について、老後にかかる生活費とのバランスも合わせてお話ししていきます。
Contents
老後の年金生活で得られる収入
年金だけで生活できないというのは、もらえる年金の額によるものなのでしょうか。
年金は実際にいくらもらえるのか令和6年度の年金支給額を例に見ていきましょう。
(https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/001040881.pdf)
国民年金
国民年金ですが、20歳から60歳まで40年間加入して満額を受給した場合、令和6年の67歳以下の方の受給月額は68,000円、68歳以上の方の受給月額は67,808円です。
国民年金のみの受給者は、個人事業主やフリーランス、フリーターなどになりますが、生活するにはかなり厳しい額であることが分かります。
厚生年金
厚生年金に加入する会社員や公務員の場合は、国民年金のみの加入者よりも受給額は高くなります。
平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準で月額は230,483円です。
生活保護
年金だけで生活できないなら生活保護はどうかという意見もありますが、生活保護の申請をしても生活保護費として別途受給できるわけではありません。
もらえるのは、生活保護費の最大から年金支給額を差し引いた分です。
さらに、生活保護を受けるとなると、不動産や金融資産などの資産を処分しなければなりません。(※例外もあります)
生活の利便性を考えると生活保護も決して良いとは言い切れません。
年金生活が厳しくなる老後の生活費
年金だけで生活できない問題について、そもそも年金による収入が少ないという点をあげましたが、老後にかかる費用も生活を苦しくする原因を生み出しています。
老後に必要な暮らしの生活費 平均23.6万円
総務省統計局「令和4年 家計調査報告書」
(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2022.pdf)によれば、
世帯主65歳以上の夫婦のみ、無職世帯の1ヶ月の生活費は下記のとおりとなっています。
- 食費:67,695円
- 住居費:15,622円
- 水道光熱費:22,723円
- 保険医療費:15,622円
- 交通・通信費:28,877円
- 教養・娯楽費:21,303円
- 交際費:4,749円
- その他(家具・家事用品、被服費等):60,105円
消費支出の合計は、平均で236,696円でした。
先に紹介した年金モデルと比較すると、国民年金はもちろん厚生年金も収入が不足していることが分かります。
『ゆとりある老後の生活費』は平均37.9万円
令和4年度の公益財団法人生活保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人の老後生活で日常生活に最低限必要な額は平均で23.2万円でした。
(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1141.html)
また、同調査によるとゆとりある老後の生活費に必要なのは平均37.9万円と日常の必要最低限な金額よりも14.7万円多くなっています。
老後に旅行やレジャー、趣味や教養にお金を使いたい、老後はゆったりとした生活設計で暮らしたいと考えている人は少なくないかと思いますが、「ゆとりある老後」と考えるとある程度の貯蓄や収入がないと叶わないことがわかります。
ゆとりある老後生活をおくるための保険活用
ここまで、老後の年金収入はどれくらいが見込まれるのか、老後の生活費はどのくらいかかるのかということでお話ししてきました。
年金収入に関してはあくまでモデルケースであって実際の支給とは異なりますし、家庭の状況によっては必要最低限の生活費がかさみ、生活を維持できない可能性もあります。
現役時代に十分に貯蓄をしていたから、年金だけでも余裕で生活できるという方もいるかもしれません。
しかし、そうした人はかなり限られています。
これからの時代、年金だけで生活するのは不可能だと考えておくべきです。
収入と支出のバランスがすでに崩れてしまっているためです。
さらに、65歳を過ぎたあたりなら、住宅ローンや教育費を払い終えている年代になりますが、別のことで支出がかさむようになります。
例えば、医療費や介護費(介護施設の利用など)、住宅のリフォームなどがあります。
年金だけでの生活が叶わないと分かった今、老後に向けてできることとして、保険を活用した資産作りがあります。
低解約返戻金型終身保険
保険料払込期間中の返戻金を抑えることで一般の終身保険よりも保険料を割安にした終身保険、払込後は返戻率が上がる保険。
払込終了後に解約して生活費に充てられる他、生命保険も兼ねています。
個人年金保険
確定型の個人年金保険は、個人の積み立てに応じて将来年金として受け取る額が決まる保険。
受け取れる期間が決まっているタイプ、一生涯受け取れるタイプがあり、安定して蓄えることができます。
外貨建て保険
外貨で積み立てていくタイプの保険のこと。
為替リスクはありますが、利率が高く、将来受け取れる額を伸ばせる可能性があります。
変額保険
保険会社の運用によって、受け取る額が変わる保険のこと。
個人年金保険タイプなどがあります。
運用状況によっては、将来受け取る額を増やしていくことが可能です。
老後資金を準備する方法
老後資金を準備するための保険の活用について説明をしました。
ここからは保険以外の方法も紹介します。
NISA
NISAは、個人で投資を行う方のための「少額投資非課税制度」のことです。
毎年一定金額で投資した株式や投資信託等の金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。
2014年1月からスタートした制度ですが2024年には制度が新しくなり、非課税期間が無期限になり、つみたて投資枠・成長投資枠の併用ができるようになりました。
つみたて投資枠と成長投資枠に関しては下記の表にまとめました(2024年10月時点)
項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
---|---|---|
非課税保有期間 | 無期限 | |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投信に適した一定の投資信託(金融庁の基準を満たしたもののみ) | 上場株式・投資信託等(※1除外条件あり) |
非課税投資枠 | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円以内)※2 | |
対象年齢 | 18歳以上 |
※1①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外。
※2成長投資枠は売却することで再利用が可能
iDeCo
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことで、自分で拠出した掛金を自分で運用して、資産を作りあげていく年金制度です。受け取りは原則60歳以降になります。
公的年金だけに頼らず自身で資金を準備することができます。
iDeCoでは、加入者が自分で配分を指定し、運用を行います。
そのため、加入したら、はじめに例えば定期預金、投資信託等どの方法で運用をするのか掛金の配分割合を指定します。
iDeCoのメリットとしては次のようなものが考えられます。
- 支払った掛金が、全額が所得控除の対象になる
- iDeCoの運用で増えた場合の運用益は非課税(通常は約20%程度かかる)
- iDeCoで積み立てたお金を受け取るときにも控除が可能
ただし、iDeCoで積み立てている資金は原則60歳未満では引き出せないなどデメリットもあるため加入前にはよく検討をしてください。
リースバック
リースバックは、リースバック会社などの第三者に不動産を売却すると同時に賃借する取引方法です。
例えば、自宅を売却すると同時に、その物件を賃借することで、売却資金を確保しながら同じ家に住み続けることが可能になります。
※賃料の未払い等契約に違反した場合、住み続けられない可能性があります。
※取扱には審査があり、諸条件によりお取扱いできない場合もあります。ご利用にあたっては所定の事務手数料と別途登記等の費用が掛かります。
流れとしては次の3つです。
- 所有不動産を第三者に売却する
- 売買契約と同時に、売却先と賃貸借契約を締結
- 毎月の家賃を支払いながら同じ住居に住み続ける
売却でまとまった老後資金が手に入り、住み慣れた家に居続けることが可能になります。
また自宅を保有している際に発生する固定資産税などが不要になります。
ただし、賃借物件になるため不動産の相続ができなくなるなどのデメリットが発生します。
また毎月の家賃を家計に考慮する必要が出てきます。
生活が苦しくなったときの救済制度
資産を作る方法についてここまで説明しましたが、それでも仮に資産形成が上手くいかなかった場合や予期しない事態が起こったときに不安ではないでしょうか。
その場合に、救済制度が存在します。
ここでは3つの救済制度を紹介します。
年金生活者支援給付金制度
年金生活者支援給付金は、年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の方に支給されます。
給付金が年金に上乗せして支給される制度です。
対象は老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のそれぞれに対して行われます。
具体的な給付額は月額5,310円(2024年基準)を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出されます。
生活福祉資金貸付制度
生活福祉資金貸付制度は、各都道府県の社会福祉協議会が資金の貸付けと必要な相談や支援を行う制度です。
65歳以上の高齢者が属する高齢者世帯も対象になります。
貸付は生活再建までの間に必要な生活費用や住宅に関する費用などが対象です。
求職者支援制度
再就職や転職を目指す方が、月10万円の生活支援給付金を受け取りながら無料で職業訓練を受けられる制度です。
訓練の内容は、介護に関するものやデザインに関するものもあり新しいスキルを身に付けることで、就業し安定した生活を目指すことも可能になります。
まとめ
ここまで日本の年金支給の現状、老後の生活費について説明してきました。
保険で積み立てて将来の老後資金を形成していく方法もありますが、積立期間が短いと十分な蓄えにはなりません。結局、はじめの年金だけで生活できないという状況に戻ってしまいます。
老後の資産作りについて、年金だけで生活できない、取り崩す貯金がないとお悩みの方は、自宅を売却してもそのまま住み続けられるハウスドゥのハウス・リースバックにご相談ください。
※ハウス・リースバックは賃料の未払い等契約に違反した場合、住み続けられない可能性があります。
また取扱には審査があり、諸条件によりお取扱いできない場合もあります。
ご利用にあたっては所定の事務手数料と別途登記等の費用が掛かります。詳しくはお問合せください。