この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。
会社の経営に何らかの問題が生じ、利益を出せていなければ、その会社はいずれ倒産してしまいます。
赤字だと、いずれ倒産してしまうことが予想できるとしても、黒字でも会社が倒産してしまうケースがあるのです。
ここでは、そうした「黒字倒産」について見ていきましょう。
黒字倒産の基礎と起きる原因
そもそも、黒字なのに倒産してしまうとは、一体どういう状況なのでしょうか?
黒字倒産の定義とその原因、影響について見ていきましょう。
黒字倒産とは
黒字倒産とは、
「収入が支出を上回っており、利益が出ているにも関わらず、何らかの理由で会社が債務の支払が不能になること」
と定義できます。
赤字のときだけではなく、黒字のときも倒産することはあるのです。
そもそも、「赤字=倒産」とは限りません。
倒産とは、企業が債務の支払いができなくなること、経済活動の継続が困難になるといった状況を示します。
つまり、外部へ支払うための現金が足りなくなったときに、会社は倒産してしまうのです。
そのため、黒字が出ていても売掛金の増加によって、その回収期間が買掛金の支払期間よりも長期化していると、黒字倒産が起こりやすいのです。
黒字倒産になる原因と影響
黒字倒産の原因としては、計画的な資産管理と運用ができておらず、キャッシュフローが尽きてしまうことが挙げられます。
赤字を出し続けていても生きている企業もあれば、黒字は出ていても、
資金繰りができておらず倒産してしまう企業もあるのです。
鍵となるポイントは、「将来的にではなく現時点でどのくらいの現金が手元にあるか」となります。
給与や事務所の家賃の支払いが滞り始めると資金繰りが怪しくなり、
手形の不渡りが発生するようになると、黒字倒産の可能性は大きく高まります。
事例から知る黒字倒産
利益が出ていても倒産してしまう黒字倒産。
では、黒字倒産にはどのような事例があるのでしょうか?
ここでは、ふたつの事例を紹介しましょう。
「A社」の事例
A社は、平成26年3月期まではずっと黒字決算でした。
PLで見てみると、黒字を継続しており、売上も最近5年間の間は300%の急成長を続けていました。
これだけを見れば、文句のつけようのない順調な経営に見えます。
しかし、営業キャッシュフローの観点から見てみると、遡って、平成22年3月期までの過去5年間にわたって赤字だったのです。
さらに、5期前から、すでに本業ではキャッシュはマイナスになっていました。
結果、特別損失計上は462億円というとてつもない額にのぼり、234億円の債務超過に至ったのです。
このことからは、損益計算の観点だけからでは、会社の倒産は予測できないということが分かります。
危険信号を早い段階で掴むためには、損益計算だけではなく、キャッシュフロー計算が非常に重要であるといえるでしょう。
「B社」の事例
B社も、黒字倒産の典型例です。
倒産した年度以外では、直近5年間にわたって黒字でしたが、それは損益計算書上だけでのことで、
キャッシュフローの観点から見てみると赤字になっているのです。
B社は、一見、右肩上がりで成長している優良企業に見えていましたが、
その抱えた負債は2558億円にも膨れ上がっていました。
決算書上では、その経営利益は、平成20年3月時点で6197億7000万という大きな金額になっています。
しかし、実際には、資金調達を借金に頼っている状態で、大量の在庫を抱えていたことが後から分かったのです。
これらの事例には、「一見利益があるように見えて、実際には営業キャッシュフローはマイナスだった」という共通点があります。
これは、物を売ってはいるものの、肝心の資金回収ができていなかったという状態です。
もちろん、これだけの負債を抱えていながら、銀行などから融資を受けられていた点には、不正などの可能性もありますが、
金額の大小に関わらず、売掛金の回収が会社の経営を支える大きなポイントだということが分かるでしょう。
黒字倒産を防ぐには?
これまで述べてきたように、決算書や損益計算の上では、大きな利益を得られているように見えても、
実際には大きな負債を抱えてしまっているケースが多々あります。
では、そうした事態を避けて黒字倒産を防ぐためには、どんな方法があるのでしょうか?
キャッシュフローによる黒字倒産を防ぐ方法
- 売掛金の回収に務める
黒字倒産を防ぐためには、まず、売掛金の回収を考えましょう。
前述のとおり、表面上は黒字が出ていても、売掛金の回収期間が買掛金の支払期間よりも長くなってしまうと、黒字倒産の危険性が高まります。
いくら「将来的に回収が見込める」と言っても、その「将来」がずっと先では意味がないのです。
- 過剰在庫を回避する
売れない在庫を大量に抱えることも、黒字倒産に繋がります。
取り扱っている物が多過ぎると、棚卸しにも無駄に時間がかかってしまいますし、棚卸しの結果と帳簿棚卸しデータとの間に大きな差異が生じることもあります。
- キャッシュフロー経営を行う
キャッシュフロー経営を行うためには、売掛金が発生したときではなく、現金が発生したときを基準にして、キャッシュフロー計算書を作成しましょう。
そうすることによって資金の動きを把握できます。
税金対策も重要
黒字倒産においては、法人税の支払いが原因となるケースもあります。
そのため、黒字倒産防止のためには税金対策も重要なのです。
当然ですが、税金には支払い義務があるので、これを払わないわけにはいきません。
そのため、税金による黒字倒産を防ぐには、節税対策を万全にしておく必要があります。税金対策の方法はさまざまで、保険や、役員報酬を利用するなどの方法があります。
しかし、いずれの方法も税務に関する正しい知識がなくては、上手く使いこなすことはできません。
そこでおすすめなのが、専門家である税理士に相談することです。
もちろん、誰でもよい、というわけではないので、しっかりと選ばなければなりませんが、専門知識を持つ優れた税理士を味方につけられれば、大幅な節税ができるでしょう。
まとめ
黒字倒産とは、一見収益があるように見えても、会社が支払不能になってしまうことです。その原因は、適切な資産運用ができておらず、キャッシュフローが尽きてしまうことにあるのです。
黒字倒産を防ぐためには、キャッシュフロー経営を意識すること、節税対策を万全にすることが重要です。
他にも、ハウスドゥが提供する、ハウス・リースバックでは、
所有している自宅や事務所・店舗等をハウスドゥに売却し、そのまま賃貸として利用継続することができます。
再購入もでき、使用使途に定めがないので、
キャッシュフローの改善の為に自宅や店舗をハウス・リースバックし、
事業が安定してきたら再購入するという使い方もできます。