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入金と出金のバランスが崩れて手元の資金が少なくなり、3ヶ月先までの支払いに対応できないと、事業は行き詰ってしまいます。どんな要因で資金繰りは悪化するのでしょうか。また、改善にリースバックは役立つのでしょうか。
赤字でも黒字でも?資金繰りが悪化する要因は?
資金繰りは、赤字はもちろん黒字でも悪化する場合があります。まずは、それぞれの要因を見てみましょう。
赤字の場合
赤字は収入よりも支出が多くて利益が出ていない状態ですから、資金が尽きるのも早くなります。黒字になるよう、経営体制を見直さなければいけません。
主にコストを減らすのと、売上を増やすのがあり、すぐに効果が出やすいのは前者のほうです。毎月発生する無駄な固定費を削減すると、手元に現金を多く残せるようになるでしょう。売上を増やすには、新たな顧客や販路を開拓したり、客単価やリピート率を引き上げたりするなどの方法があります。
かつては黒字だったのが赤字になったのであれば、何かのきっかけがあるはずです。例えば先行投資の失敗です。売上を見込んで資金を借り入れると、失敗したときに返済できなくなります。他の事業で売上を見込めるなら、早々に見切って資産を売却し、それを借入金の返済に充てましょう。借入金が減れば、利息の支払いも少なくなります。
過剰在庫も先行投資の失敗といえます。仕入時のコストを回収できない上に、保管のコストもかかるからです。売れ残りを処分して在庫管理を見直せば、無駄な支出を削れるでしょう。
黒字の場合
経営では、売り上げの回収に時間がかかりやすい傾向があります。「掛売」をしていると、なおさらです。帳簿上では売上が発生した時点で収入になりますが、それは売上債権(売掛金)であり、請求権を持っているに過ぎません。そのため、黒字であっても現金が手元になく、支払いが集中したときに資金繰りが悪化します。
特に売上が急増しているときは、仕入にかかる費用の増加に売掛金の回収が追いつかず、資金が底をつきやすいでしょう。
こうした事態を防ぐには、発注先の会社と交渉して売掛金の回収期限を早めるのが効果的です。同様に支払いの期限も、延ばしてもらうよう交渉してみましょう。両者のタイミングが揃えば、資金繰りは楽になるはずです。信用力に影響を及ぼす可能性はありますが、遠慮して倒産したのでは本末転倒です。
売掛金には、貸し倒れといって回収できないリスクもあります。これも黒字なのに資金がショートする要因です。取引の前に与信審査を行い、回収できそうな範囲で掛売にすれば、痛い目に遭わずに済むでしょう。
最近では「ファクタリング(factoring)」のように、売上債権の買取や、後から回収した売掛金を支払う条件で、先に現金化してくれるサービスがあります。手数料の分だけ受け取れる金額は1~3割ほど減ってしまいますが、当面の資金を確保するには役立つかもしれません。
売上債権を買い取ってもらえば、現金化できるだけでなく貸し倒れも防げますが、請求権がファクタリングの会社に移ることがあるので、取引先が気分を害する恐れがあります。利用にあたっては細心の注意が必要です。
また、せっかく得た利益の配分を間違えて、手元に資金が残らないケースもあります。過剰な役員報酬や株主配当などです。適正に配分するのはもちろん、資金繰りの状況を把握して、手元に残すべき資金を見極めるのも大切です。
借入は急場しのぎ!資金繰りを改善する方法は?
先述のとおり、資金繰りは以下の方法で、比較的早く改善できます。
・回収を早くして支払いを遅くするよう交渉する
・利益を出せない資産や不良在庫は処分する
・固定費を削減して売上を増やす
・ファクタリングなどで売上債権を現金化する
さらに手っ取り早い方法として借入があります。確かに現金を調達しやすいという点では、他の方法よりも急場しのぎにはなるでしょう。申し込んだその日に振り込んでくれる貸金業者もあります。
けれども、借入はいずれ返済しなければならず、利息も発生します。どこで借りるかにもよりますが、法律では利息の上限が10万まで20%、100万まで18%、100万以上15%と 定められています。赤字のところでも説明したように、返済や利息の分だけ支出が増え、かえって資金繰りを悪化させる要因になります。利用するときは、しっかりと計画を立てて目途をつけたいものです。
根本的な問題を解決できたら、今後の現金収入と支出を表にして、資金繰りを視覚化できるようにします。まずは3ヶ月、できれば1年先まで見通せるのが望ましいでしょう。そうすれば、いつ支払いが集中して多くの現金が必要になるか一目瞭然です。早めに分かっていれば、十分に対策できます。
中小企業庁では、資金繰りに悩む中小企業や小規模事業者を対象に、経営改善計画の策定を支援する事業を行っています。申請すると認定支援機関に支払う費用の3分の2を補助してくれるものです。自社だけで解決するのが難しいときは、利用を検討してみると良いでしょう。
借入よりもハウス・リースバックで資金の調達を
もう1つ、資金繰りの悪化を解消するために現金を調達する方法として「リースバック」があります。リースバックとは物件を売却して現金化し、その後はリース契約によって住み続けられるシステムです。毎月のリース料は発生しますが、借入と違って返済の負担や利息の発生はなく、厳しい審査もありません。
元プロ野球選手の古田敦也氏のCMでもおなじみのハウスドゥでも「ハウス・リースバック」を提供しており、事業用には「アセット・リースバック」をご用意しております。保有されている事務所やビル、倉庫などをハウスドゥが買い取り、リース契約を結んでいただくことで、引き続きご利用いただけるシステムです(※物件により買取できないケースもございます)。
現金化までは最短で5日、標準40日で、売却代金は一括でお支払いいたします※1。資金繰りが安定して余裕ができた時点で再度購入もできます。
※1 早期の決済には別途手数料が必要。状況によりご要望に沿えない場合もございます
注意点としては、ご利用に伴って物件の名義が変わってしまうため、以降は担保にすることができません。既に抵当権が付いている場合は、残債や物件の評価額によって、ご利用いただけるか判断いたします。
まとめ
資金繰りが悪化するのは、収入よりも支出が多いからです。黒字でも売上の回収より支出が先行すると資金繰りが悪化します。まずは手元に現金を多く残せるように、改善しなければいけません。手っ取り早いのは借入ですが、返済や利息が負担になります。事務所や倉庫など事業用の不動産があれば、ハウス・リースバックで現金化するのもおすすめです。