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日本が超高齢社会に突入した中で、これから人口の大半を占める高齢者の生活が危惧されます。
老後の生活は保障されてるんだろうか。年金は自分の世代まで受給できるんだろうか。受給できてもいくら受給できて、それで生活を支えられるのだろうか。
今回は、高齢者の生活を取り巻く厳しい実態と、そこを乗り越えるための対策を解説していきます。
高齢者の貧困実態
高齢者を取り巻く環境は悪化の一途をたどっています。
年金の受給金額は低下し、生活が厳しくなったときの頼みの綱である生活保護も、受給金額は減っている現状です。高齢者がますます増えていく中、社会保障費が肥大化していき、医療費を含む財政が圧迫されている状況では、年金や生活保護の受給に頼る形では貧困の一途をたどります。
ここでは年金、生活保護から見る具体的な高齢者の貧困実態について見ていきます。
年金の受給金額が低下し、生活が困難に
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(平成29年度版)によれば、2016年度における年金の月額平均は厚生年金では14万7,051円、国民年金では5万5,615円。また高齢者1人が生活していくには最低でも毎月10~13万円必要と言われています。
つまり、国民年金しか収入がない世帯の場合だと、必要額の半分程度しか収入がないということになり、年金だけでは生活していけない状況にあります。
出典:厚生労働省ホームページ
(https://www.mhlw.go.jp/content/000453010.pdf)
生活保護を受給する高齢者が増加
日本では生活保護を受けている層の半数以上が高齢世代で、その割合は年々増加しています。
この点で、高齢者世帯の貧困問題が深刻化している現状が明らかになっています。そこに追い打ちをかけるように、2018年10月から生活保護受給額のうち、生活費にあたる「生活扶助」の支給額が最大5%までカットされることになりました。
生活保護基準が引き下げられることにより、高齢者の生活はますます苦しくなることが予測されます。
このままでは危ない!貧困になりやすい傾向
上記のように、すでに高齢者の貧困化が顕在化していますが、その中で貧困になりやすい傾向があります。
年金を受給する前の現役世代のうちに準備していけることもあるので、まずはここをしっかり抑えて、貧困にならないように備えておく必要があります。
未納分の年金がある
昨今では、年金に対する将来不安から、年金を払わない世代も増えてきています。
しかし、未納分の年金があれば、受給年齢になっても年金は支払われません。
また、ライフイベントの際の手続きの不備などにより、一部の未納分があると、その分、受給金額は減ってしまいます。ただでさえ減っている年金支給ですが、満額払われない事態というのは避けなければなりません。
生活水準が高いままである
一度上げた生活水準はなかなか下げることは難しいものです。老後も同様で、急に生活水準を下げることはできません。しかし、毎月継続的に入ってくる給料は、定年退職した後にはなくなってしまいます。
年金以外は出費しかないので、どんどんお金は減っていきます。現役世代と同じ感覚で出費をしていると大変なことになります。高齢になったときには収入が現役よりも下がるため、生活水準を下げないと大変です。
老後資金が少ない
貯蓄癖がついてない人は世代問わず多いでしょう。
働いたり、資産運用する選択肢を除くと、老後資金は現役世代の時の貯蓄、退職金、年金です。
このうち、退職金、年金は自分ではコントロールできません。老後の貧困から脱するには貯蓄できているかどうかにかかっていますが、老後まで見通して資金管理できている人はそう多くありません。
退職金があるから大丈夫とタカをくくっている人も少なくないと思いますが、老後は病気や事故になる可能性もあり、大幅な支出が発生することがあります。
退職金があっても生きている間に使い果たす可能性もあります。
貧困にならないように高齢者ができる対策
このように、年金、生活保護といった国からの受給に頼ることはほぼ難しい状況にあります。
また定年が近づいている状況だと、今から生活習慣を変えて倹約家になったり、貯蓄したりということもなかなか根気が必要です。
ここでは、定年に近い今からでもできる貧困にならない対策を紹介していきます。
定年後も働くことを視野に入れる
最近は定年退職の時期を延ばす企業も増えていますし、会社に顧問といった形で収入は下げても継続して雇用する動きも増えています。また、労働力不足に起因して、シニア活用を考えている企業も増えています。
老後も働くためには、現役世代の頃から健康に気を付けることが重要です。
現役世代に健康管理をサボってしまうとそのツケが老後についてまわります。また、市場ニーズに合うようなスキルを定年までに身に着けておくのも得策でしょう。
最近はシニア起業も活発で、自身のウリがあると顧客がつきやすくなります。
資産を活用する
これは一定の知識を身につけることが必要ですが、資産を活用、運用するという方法があります。
よくあるのは退職金を使って運用することです。単に目減りするのを待って低金利の銀行に預けるのではなく、退職金を運用して少しでも増やす努力することです。その方法の一つとして、投資信託が挙げられます。
また自己資産の活用する方法としてハウス・リースバックがあります。ハウス・リースバックは持ち家を現金化することが可能で、売却してもそのまま住み続けられます(※物件によりご利用できないケースがございます)。
まとめ
高齢者の生活はこれまでのように年金、生活保護に支えられる時代の終焉がもう目の前まで来ている中で、自主自立した動きが求められます。
老後を見越した必要な資金とスケジュール、そこに基づく適切な対策を早いうちに準備することが必要です。定年間近であっても今からでもできることはあります。ぜひトライしてみてください。