【FP解説】終の住処とは?理想的な終の住処を実現するために必要なことを解説

2025.02.4 更新
ハウス・リースバック

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人生の最期を過ごす終の住処。従来、自宅で過ごす方が多い傾向にありましたが     近年は介護などのサービスが充実している高齢者向け住宅に移住したり、コンパクトなマンションや賃貸住宅を選ぶ方も増えています。

この記事では老後の生活を考え、終の住処としてどのような選択肢があるのか、そのメリットやデメリットについての解説や、終の住処を準備するためにやるべきことも説明します。

終の住処を選ぶ参考にしてください。

終の住処とは

まずは「終の住処」の意味と、どのようなタイミングで検討するのかを解説します。

終の住処の意味

「終の住処」とは人生の最期を過ごす家という意味です。現在、人生100年時代を迎え、老後の時間は伸びているため、今までとは「終の住処」の意味が変わってくるのかもしれません。

厚生労働省が公表している2023年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は、男性81.09年、女性87.14年と伸びている傾向にあり、人生100年時代が現実になってきました。     

参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life23/dl/life23-15.pdf

そんな中で終の住処は、住み慣れた自宅や介護のプロがいる老人ホーム、あるいはライフスタイルの変化に合わせたコンパクトなマンションなど選ぶ必要が出てきています。

終の住処について考えるタイミング

人生100年時代といわれる中、終の住処を考えるタイミングはいつが良いのでしょうか。

ここで住み替えのデータを見てみましょう。

国土交通省が公表する「住宅市場動向調査(令和5年度)」の住宅取得時の年齢を見ると、二次取得者(自宅の取得が二度目の世帯)は注文住宅、分譲集合住宅、既存(中古)戸建住宅、既存(中古)集合住宅の物件種別の中で、分譲戸建住宅以外はすべて、60歳以上がいちばん多いという調査結果になっています。

また、二次取得者の世帯主の平均年齢は、注文住宅(建て替えを除く)で59.7歳、分譲集合住宅で56.6歳、既存(中古)戸建住宅で57.6歳、既存(中古) 集合住宅は57.3歳と60歳前後で買い替えをしている方が多いです。

このことから、60代から終の住処に住み替える方が多いことが想像できます。

60歳といえば、定年退職、子どもの独立、住宅ローンの完済など生活が大きく変わるタイミングです。

その時期で今の家に今後も住み続けるか、住み替えるかを検討する方が多いのではないでしょうか。     

ただ100年時代を見据えると、今後のライフプランを考慮する必要もあり、その中で持ち家か賃貸住宅か、戸建かマンション、あるいは老人ホームなのかなどを慎重に検討する必要があります。


(参考)住宅市場動向調査(令和5年度)

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001767858.pdf

終の住処を選ぶポイント

ここからは終の住処を選ぶポイントを5つ解説します。

自宅の場合や老人ホームを選ぶ場合などいくつも選択肢がある中で、下記のポイントを考えてみてください。

①住みやすい家かどうか

年を重ねれば足腰が弱ったり、歩行が困難になったり、身体的な変化が出てきます。

老後を過ごす家は、その状態を見越して選びましょう。

場合によってはリフォームすることも検討したほうが良いかもしれません。

②予算

現役を退き、年金生活が始まるため経済的な状況も変化します。

持ち家のままでもバリアフリーなどのリフォームが必要な場合もあります。

人生100年時代を見据えて長期的な計画をたて、無理のない予算組みをしましょう。

③介護を受けられるかどうか

終の住処を選択するポイントとして外せないのが介護関係です。

介護サービスの利用や家族の介護サポートを受けられるかなど、どのような介護を受ける可能性があるのかを考えて住まい選びをしましょう。

④利便性

高齢になると車や自転車を運転することが危険な場合もあります。

そのため徒歩圏内に日用品を購入できるスーパーや、病院などの施設があると便利です。

立地や周辺環境も長く生活をしていくためには考慮しておくべきでしょう。

➄物件の寿命や修繕のタイミング

家の寿命や、どの時点で修繕が必要になるかも考えておく方が良いでしょう。

高齢になればなるほど、住み替え時の手間が増えることが予想されます。

そのため住もうとしている住まいが、いつまで問題なく使えるのかを確認することはとても重要になります。

老後に余計な負担をかけないためにも予め検討しておきましょう。

自宅を終の住処にする場合

ここからは自宅を終の住処として選ぶ場合のメリットやデメリット、そして注意点を解説します。

メリット

同じ環境で安心して過ごせる

旅行などから帰ってきたときに「自宅が一番良いな」と感じられた方は多いのではないでしょうか。

自宅の一番のメリットはやはり住み慣れた環境で安心して過ごすことが出来るということです。

年齢を重ねるほど、新しい環境に適応するのに億劫になってしまうものです。

そんな時でも、長年住んでいる自宅であれば安心して過ごせるのではないでしょうか。

住居費が減る可能性

自宅の場合、住居費が減ることも大きなメリットです。

月々の家賃の支払いがないため、老後の資金計画も立てやすいでしょう。

資産を残すことが出来る

持ち家は財産です。

ご自身はもちろんのこと、家族や子供世代、孫の世代にも残すことができます。

自分だけでなく家族が住む家として残すことが出来るのも自宅のメリットですね。

デメリット

自宅の立地によっては利便性が悪いことがある

自宅はもともと老後の生活を想定して購入されたわけではない場合が多いのではないでしょうか。

そのため、立地によっては利便性が悪くなる場合があります。

周りにスーパーなどの日用品を購入できる場所が無い、あるいは医療や介護の施設まで車で移動に時間がかかるなど老後の生活に不便が出る可能性があります。

認知症になった際のリスク

老後の生活の中で、認知症になることも想定されます。

その場合、住み慣れた自宅であっても生活に支障が出ることもあるでしょう。

また介護サービスを受けにくいような立地の場合、生活が困難になる場合もあります。

不慮の事故死につながるケースも

自宅の場合、長年住んでいることから階段や手すりの位置など十分に把握していると思われがちです。

ですが人口動態調査(2022年)のデータによれば、不慮の事故死の人数は転倒など生活の中で起きる事故が65歳以上では、交通事故を上回ります。

高齢になり歩行の感覚が変わった際に、自宅であっても安心できないことが予想されます。

人口動態調査:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411675

注意点

予算を決める

前項でも触れたように高齢になった場合、自宅であっても怪我だけでは済まない事故も出てきます。

そのため自宅を引き続き利用する場合でもバリアフリー化が必須でしょう。

バリアフリー化の工事にあたっては、どの程度の予算が必要かを事前に確認しておくことがおすすめです。

現時点の自宅内の設備を元に、どこをリフォームすれば良いのかを確認しましょう。

医療や介護サービスを受けられる場所を確認する

自宅の周りに医療や介護サービスを受けられる場所があるのかを確認しておくことも大切です。

仮に病院などが自宅から離れたところにある場合、自宅からの移動手段や所要時間を確認しておく必要があります。

家族と定期的なコミュニケーション

家族が同居する場合であれば毎日コミュニケーションを取ることはできますが、家族が独立し配偶者もいなくなった場合、健康状態や状況を知らせることが難しくなります。

そのため、家族や近隣の方と定期的なコミュニケーションを取り不測の事態があった場合の対応方法を考えておきましょう。

高齢者向け住宅に入居する場合

高齢者向け住宅には、老人ホームのような介護施設やシニア向けの賃貸住宅があり、それらを総称しています。

ここからは高齢者向け住宅へ入居することのメリットやデメリット、そして入居にあたり必要な資金を解説します。

メリット

しっかりとした介護サービスを受けられる

高齢者向けの住宅は、介護士などが常駐していたり、スタッフが定期的に居室を訪問する見守りサービスや生活のお困りごとを相談できる生活相談などのサービスを受けられることが多いです。

そのため体調の変化が起きた際や病気の際も安心することができます。

バリアフリーなど、高齢者に配慮した住宅で暮らせる

高齢者を対象にしている住居なのでバリアフリーに配慮された設計になっていることが通常です。

そのため上記の介護サービスと合わせて、生活をすることのストレスが少ないこともメリットです。

他の入居者との交流がある

他の入居者と交流するイベントや、交流の場が設けられていることも高齢者向け住宅のメリットです。

様々な方とコミュニケーションをとることで、日々の生活の充実に繋がることでしょう。

デメリット

入居に際して費用が掛かる

高齢者向け住宅への入居には費用が掛かります。

下記「必要な資金」の項目で詳しくは解説しますが、初期費用、月額費用そしてその他の追加費用などがかかります。

集団生活がストレスになることもある

メリットに他者との交流についてあげましたが、時に集団生活がストレスに繋がることもあります。

独りで過ごしたい時や、周りの方と折り合いがつかない場合など周囲の方に影響を受けるデメリットもあります。

介護サービスが施設により異なる

高齢者向け住宅にも色々な種類があります。受けられる介護サービスが違うこともあり、例えば要介護度が高くなると住めなくなることもあります。

入居の際は契約条件をよく確認しましょう。

必要な資金

入居一時金

入居一時金は施設により大きく変わります。

一般の住宅に入居する際に必要な敷金・礼金レベルから、中には数千万円にもなる施設まで存在します。

月額利用料

住居費や食費を含めた月額利用料は、立地やサービスの手厚さなどにより変わります。

10万円程度から中には数十万円を超えるものまで、内容により様々です。

経済状況を考慮しながら選択をしましょう。

介護サービスに係る費用

介護サービスは施設側が月額利用料の範囲内に設定している場合もありますが、それ以上のサービスを受けた場合は、自己負担額がかかります。

介護保険を適用することも可能ですが、高額になる場合もあるので注意が必要です。

戸建てからマンションへ住み替える場合

老後を見据えて戸建ての自宅から新しくマンションに住み替えるケースもあります。

ここからは住み替えることのメリットやデメリット、そして注意点を解説します。

メリット

コンパクトで暮らしやすい

子ども世代の独立などで、戸建てでは部屋を持て余すことが考えられます。

また二階建ての場合は階段の昇り降りがつらくなったり転倒のリスクがあるため、フラットでよりコンパクトなマンションに住み替えることで、生活しやすくなることが考えられます。

エレベーターがあり移動がしやすい

マンションは通常エレベーターがあることが多く、歩行が難しくなった際にも安心して移動することができます。

またバリアフリー構造になっているマンションを選べば、シニア世代でもより快適に暮らせます。

セキュリティ面で安心

高層階に引っ越した場合、セキュリティやプライバシーが保たれるメリットもあります。

またオートロックタイプのマンションであればセキュリティ面でも安心して過ごすことができます。

デメリット

管理費や修繕費の負担が増える

マンション入居後も、管理費や修繕費などが定期的に必要になります。

その分、老後の支出が増えることになるので計画に入れておく必要があります。

マンション管理組合の負担がある

マンションには管理組合があります。

騒音などの住民間のトラブルは管理組合が原則解決することになるため、負担が増えることがあります。

またマンションによっては定例会などに参加する必要もあるためプライベートの時間を割く必要が出る場合もあります。

新しい住環境でストレスも

住み慣れていた環境を離れるため、新しい住環境に慣れるまでは特にストレスがかかるかもしれません。

出来るだけ負担の少ない立地、設備のあるマンションを選びましょう。

注意点

防音構造、耐震基準などの状況を確認する

築古のマンションの場合、見た目はリノベーションで綺麗だとしても耐震性能に不安がある場合もあります。

またプライバシーの確保のために防音の状況も確認することにも注意が必要です。

ローンが組めない可能性もある

マンションを購入するために全て現金で支払うのであれば問題ないのですが、高齢でローンを組みたい場合は審査が厳しくなる可能性があります。

バリアフリー化されているかなど設備状況を確認する

バリアフリーに対応をしているマンションも増えていますが、入居前に改めて設備状況を管理会社などに問い合わせしましょう。高齢になり生活が困難になった場合バリアフリーかどうかは大きく影響します。必ず確認しましょう。

賃貸住宅を借りる場合

マンションへの住み替えの話と似ていますが戸建ての自宅から賃貸住宅に住み替える場合のメリットやデメリット、そして注意点を解説します。

メリット

初期費用を抑えながら引っ越すことが出来る

マンションなどの不動産を所有すると、税金や維持費などの各種費用がかかります。

その点、賃貸なら家賃と管理費等の支払いだけの場合がほとんどです。

物件の管理を管理会社に任せることが出来る

賃貸の場合、物件の修繕などに関しては管理会社が行います。

そのため、修繕や管理面に気を使う必要が無いことも賃貸の良さです。

ライフスタイルに合わせて引っ越しが可能

賃貸は2年での契約更新のケースが大半です。

そのため、ライフスタイルが変化した際にも柔軟に住む場所を変えることができます。

高齢になり、体調や状況が変わっていく中で、その時に必要な場所や住宅に引っ越しをできることはメリットです。

デメリット

長く住めば、購入した方が有利になる場合も

購入と違い初期費用を抑えられる賃貸ですが、長く住めば毎月の賃料の支払い合計が購入した場合の費用を上回る可能性があります。

60歳以上だと借りにくい場合もある

賃貸物件の場合、60歳以上だと保証会社の審査がシビアな場合もあります。

そのため年齢を重ねるほど借りにくくなるデメリットがあります。

高齢者向けの物件が少ない、防音などの設備状況が悪いことも

賃貸の場合、バリアフリーに対応していないなど高齢者向けの物件でない場合もあります。

また防音設備の状況も悪かったりストレスが多い住環境になる場合もあります。

注意点

管理状況を見極めて購入する

管理会社の運営方針で物件の状況は大きく変わります。

管理状況が悪く、入居後に後悔したという場合もあるので注意が必要です。

間取りや設備に配慮して選ぶ

間取りや設備に配慮して賃貸物件を選ぶことが大切です。

バリアフリーに対応しておらず段差が多い、エレベーターがなく移動が階段のみという物件は、老後の住まいとして選ぶことは避けたほうが良いでしょう。

老後も安心して生活できる住まいを選びましょう。

立地や周辺環境を考えて選ぶ

立地や周辺環境も物件を選ぶ際の注意点です。

スーパーや病院など日常生活を送る上で大切な施設や、バス停、最寄り駅との距離なども考慮しましょう。

まとめ

今回の記事では、終の住処とはどういったものか、老後の生活を見据えて終の住処にどのような選択肢があるのかを解説しました。

それぞれにメリットやデメリットがあります。

また準備のために必要な費用や注意点も解説しましたので今からできることを開始されることをおすすめします。

ご自身やご家族のライフスタイルを考え、最適な選択をしてください。

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ハウス・リースバック編集部

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