【FP解説】年金と生活保護を同時に受給できる?役割の違いや条件などをわかりやすく解説

2025.01.15 更新
ハウス・リースバック

この記事を読むのに必要な時間は約 13 分です。

年金と生活保護は同時に受給できるかご存じでしょうか?

今回は年金だけでは生活が難しい場合に年金以外にも生活保護費がもらえるのかについてFPが分かりやすく解説します。

年金と生活保護を同時に受給できる収入などの条件や注意点、制度の解説や国民年金の免除についても触れます。

具体的な申請の流れまでを解説しますので、老後の生活費に不安を感じている方はぜひ最後までお読みください。

年金と生活保護は同時に受給することができる

まずは年金と生活保護のそれぞれの役割について解説します。

どちらも老後の生活資金を賄う手段ですが、実際のところは役割が異なります。

また年金と生活保護は同時に受給することができます。

その理由を説明するためにも、まずは年金と生活保護のそれぞれの役割を見て解説します。

ご自身やご家族の今後の生活に不安がある場合に、少しでも不安を解消するきっかけになればと思います。

年金の役割

年金は高齢者の生活を支えるため、それぞれの条件に応じて決まった金額が支給されるお金のことです。

現役世代だったころの収入のうち一定割合を保障し、老後生活の基礎的な費用に対応することで、現役時代に作った資産と合わせて自立した生活を可能にするものです。

生活保護の役割

生活保護は、病気や失業など様々な理由で生活が困難になった方に対して、生活費などの補填を行うための制度です。

具体的には、食費、光熱費、住居費などの最低生活費の支給などを行います。

社会のセーフティーネットとして機能するための制度です。

高齢者だけではなく、経済的に困難な方が対象になります。

基礎年金給付の考え方

基礎年金は、老後に収入が無い場合にでも、一定額の年金を支給して老後を過ごせるようにするための制度です。

現役のころに構築した資産と合わせて、一定水準の自立した生活を可能にするための考え方で給付金の水準が設定されています。

また、受給時の個々の生活状況に関わりなく、現役のころの保険料納付実績に基づいた年金額が支給されます。

年金だけで老後の生活が賄えない状況の方はいます。

その場合に前述の生活保護が役に立ちます。

次の項目で年金と生活保護を同時に受給する条件について説明します。

年金と生活保護を同時に受給するための条件

先ほど生活保護が最低生活費に足りない分だけ支給されるということをご説明しましたが、年金も収入としてカウントされます。

そのため年金の受給額が最低生活水準を満たさない場合は、最低生活水準と年金の差額が生活保護費として支給されます。

年金と生活保護を受給するための条件としてここでは5つを挙げました。

生活費を援助してくれる親族等がいないこと

身内や親戚から生活費を援助してもらえる人は、そこを頼るのが原則です。

ただし虐待などの事情がある場合は生活保護受給の対象になる可能性があります。

生活費に充てられる資産を持っていないこと

家や車などの資産を所有している場合、生活保護は受けられません。(ただし特別な事情がある場合には、例外的に車の全てが認められる場合があります)

資産を売却して生活費に充てた後にそれでも生活が成り立たない場合は生活保護の対象になります。

病気、ケガなどでやむなく働けないこと

生活保護は十分に働くことが出来る方は対象外となります。

ただし病気や怪我で働くことが難しいようなら生活保護の対象になります。

国からの公的融資や公的制度を利用していないこと

国や自治体からの公的融資や給付金・手当なども収入に含まれます。

そのため、公的制度などの収入の合算が最低生活費を上回る場合は生活保護の対象外になります。

自動車の保有は原則禁止

生活保護受給中は、原則として車を持つことができません。

ただし通院など真にやむを得ない事情がある場合は考慮される可能性があります。

生活保護の種類

生活保護には、8種類の対象(扶助)があります。

またそれらの基本的な扶助のほかに一定の条件を満たした場合に適用される加算制度があります。

扶助の種類

扶助の種類は以下8種です。

  1. 生活扶助:衣食などの暮らしに必要な費用
  2. 住宅扶助:家賃、地代など、住居に必要な費用
  3. 医療扶助:病気・けがの入院や治療に必要な費用
  4. 出産扶助:出産に必要な分便などの費用
  5. 教育扶助:教材費や給食費などの費用
  6. 生業扶助:就職の支度に必要な費用や、技能修得のための費用
  7. 介護扶助:介護サービスを利用するための費用
  8. 葬祭扶助:葬儀や祭事などに必要な費用

加算制度

生活保護には、上記の扶助に加えて、状況に応じて支給される加算制度があります。

代表的な加算制度としては、以下のものです。

  • 障害者加算:障害のある人に必要な費用(車椅子など)を補填するための加算
  • 介護施設入所者加算:介護施設に入っている人へ施設の費用を補填するための加算
  • 在宅患者加算:在宅で療養している方を対象としている加算
  • 冬季加算:冬季に暖房費などが必要となる場合に支給される加算

年金と生活保護で受給できる金額

年金と生活保護で受給できる金額はどのように決まるのでしょうか。

それぞれの金額の決まり方と、同時受給した場合の計算方法を解説します。

年金の受給金額

年金の受給額は、加入していた年金の種類(国民年金、厚生年金など)、保険料の納付期間、受給開始年齢によって金額が異なります。保険料を長く納付しているほど、受給額は増えます。

国民年金の受給額の計算方法は、

年金額 × (保険料の納付月数 ÷ 480ヶ月)

で計算されます。

具体的に令和6年度の受給できる国民年金の年金額は満額で68,000円(年額816,000円)です(昭和31年4月2日以後生まれの方の場合)

① 昭和31年4月2日以後生まれの方で20歳から60歳まで40年間納付した場合

816,000円 × (480カ月 ÷ 480ヶ月)=816,000円(年額)

② 昭和31年4月1日以前の生まれの方で20歳から60歳まで40年間納付した場合

813,700円 × (480カ月 ÷ 480ヶ月)=813,700円(年額)

③ 昭和31年4月2日以後生まれの方で20歳から60歳まで40年間納付のうち未納金額が5年間ある場合

816,000円 × (420カ月 ÷ 480ヶ月)=714,000円(年額)

生活保護の受給金額

生活保護の金額は、個人の状況や世帯構成によって異なります。地域や世帯の人数などによって厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。

具体的な計算式は生活扶助と住宅扶助のみの場合

最低生活費 = 生活扶助基準(第1類) × 世帯人数の逓減率 + 生活扶助基準(第2類)特例加算(1人当たり月額1,000円) + 生活扶助本体における経過的加算 + 住宅扶助基準

となり、ここに母子家庭の場合や、障害を持たれている場合などによって変わります。

参考:厚生労働省 最低生活費の算出方法(R5.10)について

ここでは具体的に2つのパターンを解説します。

① 東京都立川市在住、45歳、1人、収入10万円

生活扶助基準(46,930円) × 世帯人数の逓減率(1.0) + 生活扶助基準(27,790円) + 特例加算(1,000円) + 生活扶助本体における経過的加算(1,520円) + 住宅扶助基準(53,700円) – 100,000円

=30,940円

② 秋田県秋田市在住、34歳、1人、収入0万円

生活扶助基準(43,640円) × 世帯人数の逓減率(1.0) + 生活扶助基準(27,790円) + 特例加算(1,000円) + 生活扶助本体における経過的加算(0円) + 住宅扶助基準(45,000円) – 0円

=117,430円

年金と生活保護の同時受給した金額

年金も収入に入ります。老齢年金だけでなく、障害年金、遺族年金も同じように収入としてカウントされます。生活保護支給額は次の式で計算できます。

最低生活費 - 年金収入 = 生活保護支給額

下記の事例で生活保護支給額を算出します。

大阪府大阪市在住、75歳、1人、年金収入 8万円

生活扶助基準(39,890円) × 世帯人数の逓減率(1.0) + 生活扶助基準(27,790円) + 特例加算(1,000円) + 生活扶助本体における経過的加算(3,220円) + 住宅扶助基準(53,700円) – 80,000円

=45,600円

この場合の生活保護は45,600円になります。

生活保護の申請方法と流れ

生活保護の受給金額が分かったところで、ここからは申請方法と申請後の流れについて解説します。

申請方法

生活保護の申請は、住まいのある市区町村の福祉事務所で行います。

福祉事務所に相談し現在の状況などを詳しく伝え、生活保護の申請をしたい旨を伝えます。

申請後の流れ

① 申請

福祉事務所の生活保護担当で生活保護を受給したい旨の申請を行います。

生活保護の申請は、申請したい本人はもちろんですが、同居の親族など委任をした他の方でも行うことができます。

② 調査

申請を受け、訪問などにより生活状況等を把握するための各種調査が行われます。

具体的には職員が訪問しての実地調査、預貯金等の資産調査、仕送り等の援助の調査などが行われます。

調査により保護の必要性や、支給する保護費の算定のための審査を行います。

③ 受給

申請から原則14日以内(特別な理由がある場合は30日以内)に生活保護を受けられるかどうかの決定が行われます。

生活保護の受給中は、収入の状況を毎月申告する必要があります。

また必要に応じて、福祉事務所のケースワーカーが年数回の訪問調査を行います。

国民年金が免除される障害年金や生活保護

ここでは国民年金が免除されるケースについて解説します。

必要に応じて活用してください。

国民年金保険料の法定免除制度

国民年金保険料の法定免除制度は、経済的に困難な状況にある方などが、一定の要件を満たすことで、国民年金保険料の納付を免除される制度です。

免除される主なケースとしては障害基礎年金や生活保護を受給している方が挙げられます。

免除を受けるための手続きは、市区町村の窓口で行います。具体的な手続き方法や必要な書類については、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

まとめ

年金と生活保護は、それぞれ異なる目的を持つ制度ですが、生活に困窮している人を支えるという点では共通しています。そのため同時に受給することが可能です。

今回の記事では、同時に受給するための条件や、生活保護の種類を紹介しました。

申請の流れにも触れましたので今回の記事を元に、ご自身や親族の方の状況に当てはまるようならお近くの相談窓口にまず問い合わせてください。

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