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会社勤めをしていると、定年時に退職金をもらえますし、現役のころの収入に応じて厚生年金が支給されるので、比較的ゆとりのある老後を過ごせると考えがちです。けれども、油断するとちょっとしたきっかけで貧乏に陥る可能性があります。どのように防げばいいのでしょうか。
定年後に貧乏になっていくケース
まずは、定年後に貧乏になるきっかけを紹介します。
早期退職で年金のみで暮らす
かつて、日本の企業の定年は60歳でしたが、2013年4月から施行された「改正高年齢者雇用安定法」によって、65歳まで引き上げるところが増えています。それに合わせて年金の支給も65歳に引き上げられました。
けれども、企業の中には早期退職を奨励しているところがあり、65歳が定年でも自分の意志で早く退職することが可能です。
もちろん、退職金は予定どおり支給されます。
また、公務員や教員、郵便局など、今でも60歳が定年のところも少なくありません。
年金(老齢基礎年金)は希望すれば繰り上げて60歳から受給できます。
その代わり、1ヶ月につき0.5%が減額されるため、60歳から受給すると30%の減額です、この金額が生涯続いてしまいます。
働かなければ不足分は退職金で補充しなければいけません。
底をついてしまうと貧乏に陥ってしまうでしょう。
退職金で贅沢をする
厚生労働省の「就労条件総合調査 」(平成30年分)によると、退職金の平均は大学・大学院卒で1,983万円でした。
出典:厚生労働省ホームぺージ
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/dl/gaiyou04.pdf
これだけの金額をまとめて振り込まれると、多くの人は冷静でいられません。
豪華客船で海外旅行をしたり、高級車を購入したり、豪華な食事をしたりするなど、贅沢に使ってしまいます。
「長年働いてきた自分へのご褒美」や「支えてくれた妻へのお礼」という大義名分があるので、贅沢することに抵抗はありません。
けれども、退職金はいざというときのライフラインです。
年金だけでは生活費が不足するときは退職金を取り崩してカバーできますし、想定外の出費が発生したときも余裕を持って対処できます。
もし退職金が無ければ、その時点で生活が破綻し、誰かに頼らざるを得なくなるでしょう。
介護や病気でお金がかかる
高齢になると体力が落ちたり、抵抗力が無くなったりして、病気にかかりやすくなります。
さらに自力で身の回りのことができなくなると介護を受けなければいけません。
医療費も介護費もかさむようになります。
老後のプランを立てるときは、病気や介護でどれくらいかかるのか想定しづらいものです。
その分を考慮していなかったために、老後の資金が不足して貧乏に陥る可能性はあります。最近は男性も女性も平均寿命は80代です。そのリスクはますます高まっているといえるでしょう。
子どもや孫に資金援助をする
退職金や老後資金などでたくさんのお金を持っていると、子どもや孫から資金援助を頼まれたときに、つい大盤振る舞いをしてしまいます。
おもちゃやお菓子を買う程度なら可愛いものですが、教育費や習い事にかかる費用まで援助すると負担が大きくなり、自らの生活を脅かしかねません。
子どもが独立しておらず、親が生活費を援助しているのも同様です。
先述のとおり、親も老後は医療費や介護費などがかかります。
資金援助するときは将来を見据え、老後の生活に影響するようであれば、きっぱりと断りましょう。
そうしないと子どもや孫に迷惑をかける恐れもあるからです。
生活をダウンシフトしていない
意外と多いのが、定年後も現役のころと同じ感覚で支出して、老後資金を減らすケースです。
退職後に働かなければ、収入は年金しかありません。退職金があれば不足分を充当できますが限度があります。生きているうちに使い果たしてしまうかもしれません。
特に食費や娯楽費、こづかい、保険料を減らせないようです。
後述するとおり、収入と支出のバランスを見直す必要があります。
定年を迎える前に準備すること
では、定年後に貧乏になるのを防ぐには、何をすればいいのでしょうか。
年金支給額を確認する
まずは、定年後にどれくらいの年金がもらえるのか把握しておきましょう。
毎年誕生月に送られる「ねんきん定期便」で確認できますし、インターネット上の「ねんきんネット」なら、いつでも見られます。
もし、保険料を納めた記録に誤りがあれば、年金事務所に申告しましょう。
年金が少なくても、現役のうちなら増やす余地はあります。
国民年金であれば、付加年金を追加して保険料を月400円多く払うだけで、上乗せが可能です。
また、未納の期間があって国民年金が少ない場合は、「任意加入制度」の利用で65歳になる前の月まで引き続き保険料を納付できます。ただし、納付期間の合計が480ヶ月(40年)に達すると終了です。
また、年金の受給を遅らせると1ヶ月につき0.7%が増額されます。70歳まで遅らせると42%の増額です。
厚生年金であれば、収入を増やすことで保険料の金額が上がり、結果として受給される年金も増えます。
収入と支出のバランスを把握する
受け取れる年金の額が分かったら、支出も把握しましょう。
そして、収入から支出を引いて、どれくらい生活を維持できるかキャッシュフローを見ていきます。赤字になれば、預貯金や退職金から補充しますが、使い切ったらそこで破綻して生活できません。
収入を増やせば破綻は回避できますが、支出を減らすほうが簡単です。
収入の範囲で暮らせるように予算を決めて、少しでも手元に残せるよう節約を心がけましょう。
定年後に貧乏になるのを免れるには
どんなに支出を減らしても、収入や老後資金が不足すれば、貧乏になるのを免れることはできません。
どのように確保すればいいのでしょうか。
定年後も働き続ける
定年後も働き続ければ、年金に頼らず、退職金や預貯金に手をつけなくてもいいので、長く安定した生活を送れるようになります。働くことで体を動かす機会が増えるので、病気や介護の予防にもなるでしょう。
最近は人手不足で高齢者の需要が高まっていますし、企業の中には再雇用や勤務延長制度によって定年後も働けるところが少なくありません。
たとえ異業種で働くことになっても、それまで培った能力や資格を活用できるでしょう。
持ち家をリースバックする
持ち家があるなら、老後資金が不足したときに売却して現金化できます。
特にリースバックは売却した後も賃貸借契約を結んで住み続けられるので、退去する必要がありません。
ハウスドゥの「ハウス・リースバック」は、最短5日で持ち家を現金化しております。(物件により5日で対応できないケースもあり、クイックリースバックを利用の場合は別途費用が掛かります)
また、買主であると同時に貸主でもあるので、賃貸借契約に期限はありません。
お客様の都合で住み続けられますし、再度購入もできます。
定年後に貧乏になるのを防ぎたいときは、ぜひご検討ください
(※物件によりご利用できない場合もあるので、対応可能かは問合せください)。
まとめ
定年後に貧乏になるのは、収入が減るのに支出が多いからです。
特に退職金が出ると、金額の大きさについ贅沢をしてしまいます。収入を把握して、その範囲で生活できるように心がけましょう。定年後も働き続けたり、持ち家をリースバックしたりすると、老後資金を確保できます。