【FP解説】個人事業主や自営業の年金はいくら?国民年金基金など老後資金対策を解説

2025.07.8 更新

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個人事業主や自営業者がもらえる年金は、会社員に比べて少ないといわれます。

これは会社員が「国民年金(老齢基礎年金)」に加えて「厚生年金(老齢厚生年金)」にも加入するのに対して、自営業者は原則として「国民年金(老齢基礎年金)」のみに加入していることが主な理由です。

それでは具体的にどのくらい受け取れる年金額に差が出るのでしょうか?

この記事では、個人事業主や自営業者がもらえる老齢年金の概要と、老後の資金対策として検討できる手段(個人年金保険やiDeCoなど)について解説します。

年金の種類

日本の公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」の2種類があります。

どちらの制度に加入するかは働き方によって異なります。それぞれの年金制度の仕組みについてみていきましょう。

老齢基礎年金(国民年金)

国民年金(基礎年金)は日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満までのすべての人に加入義務があります。

2024(令和6)年度時点の保険料は16,980円/月ですが、この金額は毎年見直されます。

国民年金の保険料納付済期間と免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、原則として65歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。年金の受給額は加入期間に応じて計算されます。

年金は原則として65歳から受け取る仕組みですが、受け取り開始時期を早める(繰り上げ需給)ことも、遅らせる(繰り下げ受給)ことも可能です。

繰上げ受給:60歳から65歳までの間に年金を受け取り始めることができます。ただし、1ヶ月ごとに0.4%ずつ減額され、生涯にわたって減額された年金が支給されます。

繰下げ受給:66歳から75歳までの間に受け取り開始を遅らせると、1ヶ月ごとに0.7%ずつ増額されます。最大で84%増額された年金を受け取ることができます。

老齢厚生年金(厚生年金)

会社員や公務員として働く人は、「国民年金」に加えて「厚生年金」にも加入しています。厚生年金の保険料は月々の給与や賞与に対して18.3%(2024年度時点)が課されており、この保険料は事業主(勤務先)と本人で折半しているため、給与明細などに記載されている保険料は実際の納付額の半額(本人負担分(9.15%))です。

厚生年金の加入期間がある方は、65歳から老齢基礎年金に加えて「老齢厚生年金」を受け取ることができます。     

年金受給額は厚生年金に加入していた時の給与額や加入期間などに応じて計算されます。老齢厚生年金も老齢基礎年金と同じく「繰上げ受給」や「繰下げ受給」の制度を利用することができます。

個人事業主・自営業者と会社員の年金比較

個人事業主や自営業者と会社員では加入している年金制度が異なります。

それに伴い、老後に受け取れる年金額にも大きな差が生じます。ここでは、それぞれが受け取れる年金の目安を紹介します。

個人事業主・自営業者がもらえる年金

個人事業主や自営業は、「国民年金(老齢基礎年金)」のみに加入しています。

20歳から60歳の40年間すべて保険料を納付していれば、2024年4月時点の満額で、年額816,000円(月額68,000円)の年金を受け取ることができます。

なお、69歳以上の方の満額は年額813,700円(月額67,808円)です(経過措置による差異)。

参照:老齢年金生活者支援給付金について知りたい|生命保険文化センター

年金額は老齢基礎年金額(満額)と保険料納付済月数がわかれば、式1より求めることができます。

年金額(年額)=816,000円 × 保険料納付済の月数 ÷ 480か月  (式1)

※全額免除や半額免除などの期間があった場合を除く

例えば、保険料の納付期間が35年(420か月)の場合、年額714,000円(月額59,500円)となります。

会社員のもらえる年金

会社員は国民年金に加えて厚生年金も受給することができます。

たとえば、日本年金機構によると会社員(平均的な収入43.9万円/月)が40年間就業した場合にもらえる年金は、夫婦で月額約230,000円、年額約2,760,000円といわれています。

参照:日本年金機構(令和6年4月分からの年金額等について)

厚生年金の代わりとなる国民年金基金

個人事業主や自営業者でも、公的年金だけでは将来の生活に不安を感じる方は少なくありません。そうした方に向けて、年金額を上乗せできる制度として「国民年金基金」があります。     ここからは国民年金基金についてみていきましょう。

国民年金基金とは

国民年金基金とは、厚生年金に加入できない自営業者や個人事業主が、年金を上乗せして受け取ることができる任意加入の年金制度です。

言い換えれば、厚生年金の代替的な役割を果たす仕組みといえます。(表1)

表1 : 自営業者と会社員の年金収入の種類比較

生涯受給できる年金収入
個人事業主

自営業者
国 民 年 金
(老齢基礎年金)
個人型

確定拠出年金
(iDeCo)
-
会社員厚生年金
(老齢厚生年金)
個人型

確定拠出年金
(iDeCo)
企業型

確定拠出年金
会社員厚生年金
(老齢厚生年金)
個人型

確定拠出年金
(iDeCo)
確定給付型

企業年金
会社員厚生年金
(老齢厚生年金)
個人型

確定拠出年金
(iDeCo)
厚生年金基金

国民年金基金の掛金の上限は月額68,000円です。

受け取り方法や保証期間の異なる7種類の年金タイプがあり、その中から自由に組み合わせて選ぶことができます。

全額が所得控除の対象となるため、節税効果もあります。

メリット

次に国民年金基金のメリットを詳しくみていきましょう。

一生涯受け取れる終身年金

日本人の平均寿命は伸び続けているため、老後の資金は十分に用意しておくことが必要となります。国民年金基金は65歳から生涯にわたって受け取れる終身年金なので、何歳まで生きても年金が支給され続けます。

一定の掛金額で一定の年金額が受け取れる

支払った掛金に応じて、将来受け取る年金額があらかじめ確定しています。運用によって年金額が減ってしまうようなリスクはないため、長期の資金計画が立てやすくなります。また加入時に決めた掛金額は口数を変更しない限り、払込期間終了まで変わりません。

税金が優遇

国民年金基金は公的な個人年金制度なので、掛金は全額が社会保険料控除の対象となり、確定申告をおこなえば所得税や住民税が軽減されます。具体的に国民年金基金と一般の個人年金で実質の掛金を比較してみると、表2のようになります。 

表2 : 国民年金基金と一般の個人年金の掛金比較

課税所得額:約400万円

掛金の合計額:30万円/年の場合
国民年金基金一般の個人年金
約9万円軽減

掛金額

30万円×税率:30.42%

=91,260円
約1万円軽減

所得税

4万円×税率:20.42%=8,168円

住民税

2.8万円×税率:10%=2,800円

※2012年1月以降に締結した個人年金の場合
掛金は実質約21万円掛金は実質約29万円
所得税・住民税の軽減は年間約8万円の差

国民年金に20年間加入した場合、約160万円(8万円×20年)の差

参照:国民年金基金ホームページより(https://www.zenkoku-kikin.or.jp/taxbenefits/

さらに年金受給時も「公的年金等控除」の対象となるため、税制上のメリットがあります。

掛け捨てにならない

万が一早期に亡くなってしまった場合でも、家族に遺族一時金(非課税)が支給されるため、掛け捨てにはなりません(一部の給付タイプを除く)。

支給額は加入者の年齢、死亡時の年齢、掛金納付期間に応じて計算されます。

自由な設計プラン

自身のライフプランに合わせて、年金額や受け取り期間を設定できます。加入後も掛金の額を口数単位で増減変更可能です。

また掛金を年度分前納する前納割引が適用され、支払い総額が抑えられます。

加入対象者

国民年金基金の加入対象者は、国民年金を納めている20歳から65歳未満の自営業者やフリーランスの方とそのご家族です。

また、60歳以上65歳未満の方や海外居住者でも、国民年金に任意加入していれば加入することができます。

個人事業主・自営業者の老後資金対策

個人事業主や自営業者には退職金はありませんが、定年がないため高齢になっても働いて収入を得られる可能性がありますしかし引退して収入が途絶えたあとも、安心して生活するためにも老後の資金を備えておきたいですよね。     

ここでは、老後の資金対策として活用できる制度をご紹介します。

個人年金保険

個人年金保険は、国民年金などの公的年金保険と異なり民間の保険会社が提供する私的年金制度です。契約時に決めた年齢から年金が受け取ることができます。運用方法は、契約時に年金額が確定する「定額個人年金保険」と運用により年金額が変動する「変額個人年金保険」があります。

また個人年金保険の受け取り方法は、生死にかかわらず一定期間決めた額の年金が受け取れる「確定年金」、生存している限り一定期間給付される「有期年金」、生存している限りずっと年金が受け取れる「終身年金」の3つがあります。ただし、保険商品の内容や条件は各社異なるため、契約内容をよく確認した上で加入しましょう。

付加年金

国民年金保険料に400円/月の付加保険料を上乗せして納めることで、「200円×付加保険料納付月数」の付加年金が老年基礎年金に上乗せされます。

2年以上年金を受け取ると、納めた付加保険料以上の年金を受け取ることができます。ただし、国民年金基金に加入している場合は、付加保険料を納付できないので注意しましょう。

小規模企業共済

小規模企業共済制度は、国が運営する個人事業主や小規模事業者のための退職金制度です。

月々の掛金は1,000円~70,000円までの範囲で500円毎に自由に設定でき、途中で掛金の増減変更が可能です。また全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象なので節税効果があります。

共済金は退職や廃業の場合に受け取り可能で、受け取り方法は一括・分割・一括と分割の併用から選択できます。一括受取りの場合は退職所得扱い(税制上優遇あり)、分割受取りの場合は公的年金等の雑所得扱いとなるため、税金面での優遇もあります。

iDeCo

iDeCo(イデコ)は確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度で、自分で老後資金を積み立てて資産を形成する方法のひとつです。

基本的に20歳以上65歳未満のすべての方が加入対象となっており、個人事業主や自営業者も加入できます。

自分が拠出した掛金を自分で運用するので、受け取る額は運用成績により変動します。掛金は65歳まで拠出可能で、老齢給付金は原則60歳から受け取り可能です。

掛金は全額所得控除の対象、運用益は全額非課税、年金または一時金を受け取るときも各種控除が適用されます。

まとめ

個人事業主や自営業者は原則として国民年金のみの加入となるため会社員に比べて老後に受け取れる年金額は少なくなりがちです。

人生100年時代においては、公的年金だけで安心とは言いきれません。

だからこそ、以下のような自助努力による資金づくりの選択肢が大切になります。

  • 国民年金基金(厚生年金の代替として)
  • iDeCo(自分で運用する私的年金)
  • 小規模企業共済(自営業者の退職金制度)
  • 付加年金や個人年金保険 など

まずは自分の公的年金の状況を確認し、厚生年金の代わりとなる国民年金基金や私的年金のiDeCoなど、老後資金の対策として利用できる制度も活用してはいかがでしょうか。

 ハウスドゥ
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ハウス・リースバック編集部

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